「〇〇って何の役に立つんですか?」
これは様々な学問,研究で問われる質問ではないだろうか。
実際にどのくらい問われているかはさておき、世の中ではやはり実用性を重視しているように思われる。
殊更、数学においてこの質問は中学,高校生から上の世代まで幅広い人が持つ疑問(不満?)であろう。
特に高校生の中には次の疑問を強く抱いている人も少なくはないだろう。
「何で数学を勉強するのか?」
それに対する自分なりの答えをこの記事でまとめていくことにした。
数学というのは、その実用性を尋ねられたときに答えにくい学問だと感じる。
というのも、大学で研究されているような専門数学はそのままの形で実用化されることをあまり見かけない。
大抵の場合、物理,化学,生物…そこからさらに発展して工学などのより実用的な分野,あるいは音楽など、他の分野で活用されて初めて実用化されたといえるだろう。
そのため、質問に答えるには自分の専門分野の活用を調べなければならない。
(実際、研究費を受給するためにそのようなことをしているということをとある教授から聞いたことがある)
しかし、ここで疑問を持つ。
そもそも、「役に立つ」「役に立たない」とは一体どういうことを指すのか。
究極的に言ってしまえば、人類はあと数億,数十億年後には滅びているのである。ならば、人の役に立ったところで一体何の意味があるのか、と自分は強く思っている。
最新の研究*1では、宇宙の寿命は10の100乗年であり、人類の存在する時間などどんなに多く見積もっても高々10の一桁年のオーダーである。
そんな僅かな時間の実用性ばかりを重視することは意味がないという考えが、自分の根底にある。
つまり、実用化はやりたい人々がやればいい。ただしそれを強要するようなことはするな、というのが自分のスタンスである。
また、長い年月が経ってから数学などが実用化されるような例もある。
その典型例が整数論であろうか。
ここ数十年でインターネットは目覚ましい発展を遂げた。
その中で欠かせない技術が暗号化技術である。これがなければ、メールやチャットアプリなどでやりとりされるプライベートな内容が第三者に見られたり、パスワードなどの重要な個人情報が簡単に流出してしまう。
そんな暗号化技術には、高校の整数で習ったmodの概念などが使われている。
要は、即実用化することだけを考えていると、将来的に重要となってくる技術の基礎となる研究の可能性を狭めてしまうのではないか、というのが自分の主張である。
ここまで実用化について語ってきたが、まとめると
数学などの基礎研究の学問に対し、実用化を求めることは愚かであり、すべきではない
というのが自分の考えだ。
さて、この記事は最初に挙げた質問に自分なりの答えを与えるものだった。
簡潔に締めよう。
まず、「数学は何の役に立つのか」
自分の答えは
「知ったこっちゃない」
そして、「何で数学を勉強するのか」
自分の答えは
「自分が好きだから。やりたくなければ(制度上受験だけは仕方ないと我慢して後は)やらなきゃいい」
まあ、そんな自己中心的な考えだから社会不適合者なんでしょうがね…
*1:宇宙に「終わり」はあるのか / 吉田 伸夫 より